住宅ジャーナリスト
小菊 豊久さん
1353年生まれ。住宅ジャーナリスト。1979年より約三十年にわたって、住宅・都市問題、住文化を専門分野として活躍。常に生活レベルに立脚し、文化的なジャンルだけでなく、金融・税制・市場動向・政策なども含む複眼的な調査分析を行っている。日本不動産ジャーナリスト会議、日本マンション学会会員。主な著書に『はじめての住まい買うとき売るとき』(メディアファクトリー)、『マンションは大丈夫か窶披拍Z居として資産として』(文藝春秋)、『はじめてのマイホーム』(日本経済新聞社)、『検証マンションの資産価値』(リクルート)、『後悔しないためのマンション鑑定術』(PHP研究所)ほか
一戸建てを選ぶ際にチェックしておきたいのが、小規模開発か大規模開発かということ。小規模開発は「1~5区画」が中心、大規模開発は、「20区画以上」の開発分譲地を指します。中には「100区画」を超えるものも。それぞれに特徴があり、どちらが快適かは理想とする暮らしのスタイルによって変わってきそうです。また、近所付き合いはどうなるの? プライバシーは守られる? 子どもを安心して遊ばせられる?……開発規模の違いによるそれぞれの暮らしのメリットについて探ります。
※「2007年首都圏新築一戸建て契約者動向調査」(リクルート)より

「1~5区画」の“小規模”が人気の理由
東京23区では“小規模”購入者は7割を超えています。それは、首都圏では“小規模”の供給数が多いという物理的な理由も大きいですが、それ以外にも近所付き合いなどの点を考慮して選ぶ人も多いようです。
「“小規模”、ここがよかった!」
- 4区画販売でしたが、多すぎず少なすぎず丁度いい世帯数。面倒にならない程度のご近所付き合いができる。(男性 34歳)
- 自治会が大きくなりすぎない。適度な近所付き合いができる。(男性 28歳)
- 隣人との交流がしやすい。多数の家の交流によるねたみ、ひがみなどがない。(女性 36歳)
- 区画数が少ないので、多くの付き合いをしなくてすむ。 (男性 43歳)
- 1区画だけの販売だとすでにコミュニティとして出来上がっている地域住民と親しくなるまでに時間が掛かると思う。 販売数が4区画だったのでその点よかったかも。 (女性 28歳)
- 多すぎない区画数だと、どんな人が住んでいるのかがわかる。新しく引っ越してきた人たちばかりで仲良くなりやすい。(女性 33歳)
※リクルート住宅情報ナビ 2008年6月調査より
“小規模”はアクセス重視の人におすすめ!
“小規模”は駅からさほど離れていない物件も多くアクセスがいいので、忙しい共働き夫婦などには向いているといえます。あまり広範囲に広告宣伝しないことが多いため、その土地に地縁のある人が購入するケースも多く、新興住宅地にはない落ち着きのある住宅街を好むという人には適しているでしょう。しかし、どうしても密集した土地に建てられることになるため、日当たり、風通しなどが得られるかは事前によく確認しましょう。建築途中で間取りの希望が聞いてもらえる場合もあり、日当たりのいい2階にリビングを持っていくなどの工夫が可能な場合もあります。また、いくら日当たりがよくても、窓を開けると隣の家から丸見えというのでは、意味がありません。プライバシーが守りやすい建て方になっているか、隣り合った家同士の部屋の位置関係なども要チェックです。
- 不動産会社の信頼性を見極める
宅地建物取引業者名簿を閲覧することで、信頼できる不動産会社なのかを見極めることができます。その会社の過去の実績や資産状況、行政処分歴などを把握でき、免許を交付した各都道府県の行政庁で閲覧することが可能ですので、問い合わせてみるとよいでしょう。 - 周辺環境をきちんと把握する
家の前の道が公道なのか、私道なのかをチェックしておくのもポイント。建て替えなどの際に制限があったり、周辺に大きな建物が建つ可能性もあります。のちの暮らしに影響を受けそうな事柄はないか、事前に確認しておきましょう。 - アフターフォローは万全か
保証制度、保証期間など、アフターフォローについてよく確認しましょう。
“大規模”は子どもあり世帯に人気
全体で見ると21~100区画は約13%。夫婦のみ世帯は全体より低く約11%、子どもあり世帯は全体よりやや高く約14%でした。これらの平均値の結果から、子どもあり世帯のほうが“大規模”を購入する割合が若干多い傾向が見られます。
「“大規模”、ここがよかった!」
- 街並みがきれい。 同時期に入居するので自治会などに慣れやすい。(女性 35歳)
- まわりの人も引っ越してきて、あまり経っていない人たちばかりなので、仲間意識が持てる。(女性 32歳)
- 街並みが整備されていて、過ごしやすい。 区画割りが防犯に配慮された作りになっている。(女性 33歳)
- 近所に似た年頃の子どもがたくさんいる。 近所づきあいしやすい。 大きな公園がある。(男性 31歳)
※リクルート住宅情報ナビ 2008年6月調査より
“大規模”は環境創造型の街づくり
“大規模”は、大きな土地が確保しやすい都心からやや離れた地域に多く見られます。計画的に創られた街なので、街並みに木々などの自然が多く、公園が配置されるなど街全体が美しく整備されています。また、学校やコミュニティセンターなどの建設も含めて開発されることも。敷地にゆとりがあり、防犯、防災を考慮して道路が配されるなど、子育て世代には向いているといえるでしょう。同時期に購入した同年代の家族同士、子どもを通じての近所付き合いが広がっていくことが多いのが特徴です。
自分がそういう近所付き合いを望むのかどうか、そしてその物件の良し悪しだけではなく、学校、病院、スーパーなど生活利便施設との距離も判断材料として欠かせません。また、広い敷地内のどこに位置しているかによって、駅やバス停からの距離が変わってくるので、購入する区画の位置関係を事前によく確認しましょう。
構成·取材·文/eSampo.com イラスト/トリゴエモトコ
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