不動産コンサルタント
長嶋 修さん
1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「株式会社さくら事務所」を設立。
以降、さまざまな活動を通じて「第三者性を堅持した不動産コンサルタント」の第一人者としての地位を築く。マイホーム購入・不動産投資など不動産購入ノウハウや、業界・政策への提言、社会問題全般にも言及。著書・メディア出演多数
株式会社さくら事務所
創業者
取締役会長
http://www.sakurajimusyo.com/
株式会社ライフデザイン
取締役
http://www.life-design.co.jp/
日本ホームインスペクターズ協会
理事長
http://www.jshi.org/
NPO法人
すまひとプロジェクト
理事長
http://www.sumahito.com/
「空が広がる開放感がたまらない」「どうしても東京タワーが見たい!」「やっぱり緑があると落ち着くわ~」…部屋からの眺めの好みは人それぞれ。高層か低層かによっても物件選びのポイントは大きく変わってきます。あなたは「住戸からの眺望」にどこまでこだわる? 眺望の理想と現実について検証します。
※「2007年首都圏新築一戸建て契約者動向調査」(リクルート)より

眺望と価格どちらをとるか?
マンション購入の決め手項目の上位に必ず登場するのが「住戸からの眺望」です。2007年のデータでは、第4位。2005年の7位から2年連続でランクアップしています。ここ数年、タワーマンションの物件数が飛躍的に伸びたことも関係しているのかもしれません。
一方、「住戸からの眺望」は、あきらめた項目でも、2007年のデータで第2位。毎年上位項目の常連になっています。
「眺望よりも優先したのは…?」
- 前に高層の建物がないかをチェックした。駅前という立地を重視し、眺望のよさはあきらめた。(女性 39歳)
- ベランダの前に高い建物がないこと、ベランダから海は見えなくてもいいが、海が近くにあることを実感できる場所が理想だった。海が見える部屋は、値段が高くて、買えなかった。(女性 33歳)
- 以前住んでいたマンションは、10階建ての10階だったが、ベランダや部屋の中に吹き込んでくる風がひどく、困っていた。なので、今回は15階建てのマンションの4階を購入し、眺望や景色はあきらめた。(男性 45歳)
※リクルート住宅情報ナビ 2008年6月調査より
階数と比例して上がる販売価格。どこまでの眺望を望む?
新築未完成物件の場合、実際の眺望を確かめることはできないので、モデルルームやパンフレット等に用意されている部屋の窓からのイメージ写真や模型などをもとに、想像力を働かせることが必要になってきます。希望する住戸のメインとなる部屋がどの方角を向いているかも、チェックしておくとよいでしょう。でも、いくら情報を集めても、実際には「想像していた眺めと違った!」というようなリスクが伴います。どうしても眺望にこだわりたい人は、完成済み物件を狙うのも手。そうすれば、実際に自分の目で見て納得して選ぶことができます。
眺望をあきらめる理由はなんといっても、物件の価格でしょう。通常、マンションの販売価格は階数が上がるにつれて、1階ごとに50万円、100万円といった具合に価格も比例して上がっていくため、眺望と価格のバランスをどうとらえるかがカギになってきます。1つ階数を下げれば、その分の金額でオプションがつけられることも。設備やその他の条件との兼ね合いを複合的によく考慮することも大切です。
もし、将来的な資産価値を求めるのであれば、大多数の人が好む眺望であるかどうかがポイントになります。海や山、東京タワーなどのランドマークが見えるのが、一般的に評価の高い条件です。「○○の花火大会が見える」といったことを売り文句にしている場合もありますが、イベント的なものは中止になったり、開催場所が移動してしまったりと未来永劫なものではないということを念頭においておきましょう。]
低層階からの景色にはまた別の魅力が
金額的に高層階の眺望をあきらめざるを得ない場合、低層階の物件を購入することになると思いますが、低層階からの眺めにはまた違った魅力が。低層階なりのよさを生かした景色の素晴らしい物件はたくさんあります。
「みんなの家から見える風景は?」
- 駅のすぐ近くの物件のため、電車の大好きな息子の部屋から駅のホームが見える。(女性 44歳)
- 前に川があるので見晴らしが良い。(男性 42歳)
- 木々など自然物。(男性 36歳)
- 田園風景。(男性 40歳)
- 駅へ入る人、出てくる人の表情が見える。学校の校庭が見え、子供たちから元気がもらえる。(女性 44歳)
- 遠くから家の人が帰って来るのが見えるところが気に入っている。(女性 34歳)
- ほどよい緑と水辺が見える。(男性 36歳)
- 公園が目の前にあるので、見晴らしが良い。(女性 28歳)
- ベランダから見える景色はJR線とのどかな街並み。自然の景色はそれ程楽しめないが、のんびりした景色で気に入っている。(男性 45歳)
※リクルート住宅情報ナビ 2008年6月調査より
木々の緑などを楽しめる低層階は、周辺環境の変化を予測しよう
低層階では、木々が見えることで四季を身近に感じることができ、一戸建て風の景観を売りにしている物件も。高層階の眺望が非日常の開放感を得られるのに対して、低層階の景色は日常や自然の移り変わりを家の中にいながら感じられる贅沢感が得られるといえるかもしれません。自分はどちらを快適に感じるのかを見極めることが大事です。
ただし、低層階の場合は周辺の環境の影響を受けやすいのも事実。せっかく景色が気に入って購入したとしても、あとから目の前に高い建物が建ったりしたら台無しです。事前に周辺の建築計画などを入念にチェックしましょう。
- 周辺の用途地域を必ず確認!
用途地域は将来の環境の変化を予測する目安になるため、必ず確認すること。商業地域なのか、住居専用地域なのか。それによって周囲に何階建てくらいまでのものが建つ可能性があるのか知ることができます。商業地域の場合は規制が緩く、将来的に大規模な建物が建つ可能性も考えられます。マンションのパンフレットなどで確認するか、わからない場合は市区町村役場の都市計画課に聞けば教えてもらえます。 - まとまった大きな土地は要注意!
大きな土地には高い建物が建つ可能性が常にあり、周辺環境が変わる潜在的なリスクといえます。いま建物が建っていても、いつかは建て直すかもしれないので、決して安心とはいえません。周囲に可能性がありそうな土地があれば、市区町村役場の建築課や建築指導課に建築計画が出ているか確認しましょう。もしくはマンションの販売会社に「所有者を調べて聞いてほしい」と頼んでもいいでしょう。高い買い物なのですから、遠慮してあとで後悔するよりも、得られる情報はしっかり集めておきましょう。
構成·取材·文/eSampo.com イラスト/トリゴエモトコ
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