イマジネーションを刺激する夜の散歩
—菊地さんが歌舞伎町に住むことになったきっかけを教えてください。
「僕は千葉県銚子市の観音町という歓楽街で生まれ育ったんですが、そこの雰囲気がすごく歌舞伎町に似ているんです。ある本の執筆で歌舞伎町のホテルに缶詰になったことがあったのですが、そのときに歌舞伎町の雰囲気が懐かしく感じられて、リラックスして過ごせました。だからもう、すぐここに住もうって決めて。これでも若いころは自由が丘とかオシャレな街に憧れていたんですけどね(笑)」
-その歌舞伎町に転居されてからは、初のソロアルバムリリース、映画『大停電の夜に』で音楽監督デビュー、東京大学非常勤講師への就任など、一層精力的に活動の幅を広げているように思われます。歌舞伎町の環境がクリエイティブな仕事にいい影響を与えているのでしょうか?
「住んでいるだけでイマジネーションは刺激されているかもしれません。例えばちょっとセロハンテープ買いに行こうっていうときでも歌舞伎町のネオンの中を通っていくので、それだけで十分刺激的ですから。ここに住む前から音楽はやっていましたが、歌舞伎町でしかわかないイマジネーションというものが確かにあると思います」
歌舞伎町のイメージの裏側にある意外な一面
-ここまで刺激的な環境だと、興奮しっぱなしで全くリラックスできないようにも思うのですが?
「一般的にリラックスする環境というと、自然豊かであるとか閑静な雰囲気とか、お決まりのイメージがありますよね。でも人がいっぱいいてにぎやかなほうが元気になる人もいると思うんです。僕も金曜の終電が過ぎた後、不夜城みたいな区役所通りを散歩するだけで癒やされて、すごく疲れが取れるんですよ」
-歌舞伎町というと治安が悪いイメージもありますが、実際に怖い目に遭われたことはありますか?
「一度もないですね。よく『歌舞伎町24時』なんてテレビ番組で、人が刺された、とかやってますけど、そんなことはめったにないですよ。逆に普通の静かな住宅街なんて、夜歩いていたら路地裏から誰が出てくるか分からないし、後ろから誰かが追いかけてくる可能性もある。その点、ここなら深夜でも昼間みたいに明るいので、むしろ安全かもしれないですね」
-これから上京する若い人に、メッセージやアドバイスをお願いします。
「新宿というとあまり住むイメージはないと思いますが、活気ある街が好きな人には本当にいい場所だと思います。歌舞伎町の中は家賃も高いだろうけど、歩いて歌舞伎町に到達できるエリアまで範囲を広げれば安いマンションはたくさんあるし、歌舞伎町じゃなくても、伊勢丹や中央線のガードの近くとか、探せばいくらでもありますよ」






